・講座名 : 第2回シビックカフェ / 芳樟とクスノキ
・開催日 : 2016年7月26日(火) / 開聞山麓香料園 カフェスペース


暑い中お集まりいただいた皆様、ありがとうございました。
以下開催報告です。

2回目となりました『香りの講座』ですが、今回は『芳樟とクスノキ』をテーマに行いました。
芳樟はクスノキの仲間ということもあり、はじめにクスノキについての説明、またその主成分である樟脳(カンファー)製造の歴史をお話ししました。
そして芳樟について。
生育地や特徴、また、一大生産地であった台湾での芳樟の状況など、実際に芳樟やクスノキの葉の香りを楽しんで頂きながらの講座となりました。
簡単ではありますが、内容をかいつまんで箇条書きにて・・・。

 

・クスノキの植物学的特徴についていのお話
・利用法~加工しやすく腐朽しにくいため、船や仏像に使われていた。

・樟脳について~日本で最初に樟脳が製造されたのが江戸時代の薩摩藩。長崎の出島を通じてヨーロッパへ輸出され、『サツマカンフル』と呼ばれていた。薩摩藩はクスノキを厳格に管理し専売制とした。樟脳で得た利益で武器や戦艦を購入し、明治維新の際の資金源にもなったと言われている。

・江戸初期の生産量は72トン程だったが、明治20年前後には2500トンに増加した。明治40年から大正元年にかけて樟脳輸出は最高潮に達した。

・薩摩焼が樟脳をとるために必要不可欠の道具で、より多くの樟脳をとるために薩摩焼の技術も向上したと言われている。薩摩焼の産地・美山は、樟脳製造創業の地でもある。

・樟脳が工業規模で世界的な注目を集めたのは、1868年ニトロセルロースと樟脳を反応させてセルロイドが発明されたため。セルロイドの爆発的普及に伴い、クスノキが豊富だった日本は世界最大の樟脳供給地となった。この他にもフィルムや防虫剤・農薬などに使われた。

・芳樟の天然分布は台湾と中国南部のみ。日本に生育するクスノキはすべて樟脳の採れる種。

・学名はいまだに一定しておらず、多数記載されている。

・台湾にはクスノキ(カンファー臭)と芳樟(リナロール臭)以外にも、サフロール臭、シネオール臭、セスキテルペン臭のする5種が確認されている。

・台湾の東部と西部では、外部形態(見た目)に差異があるため、別の品種としてみなされる。

・東部と西部にそれぞれ上記の5種の香りのクスノキがある。
・日本へは昭和22年に台湾から種子を持ち帰り、鹿児島市玉里の樟脳試験場にて試験栽培が開始。一部の種子は曽田香料開聞農場で播種された。

・昭和38年には芳樟生産組合が設立し、鹿児島県は特殊林産振興計画の中に芳樟を取り入れ普及と指導支援を行った。

・合成リナロールの開発成功に伴い需要が低下し、昭和47年に芳樟事業は終止符となった。

 

このような説明の後、実際に参加者の皆さんに、クスノキ、芳樟、サフロールの3種の葉の嗅ぎ比べをしていただきました。
皆さん芳樟は正解でしたが、カンファーとサフロールの嗅ぎ分けが難しかったようです。このサフロール種、園内に一本だけあります。ぜひ探してみて下さい。ポケモンより楽しいかもしれません。(笑)

さて、次回(8月27日)はいよいよ芳樟の「香りの効果」についてです。
研究して下さっている先生をお招きしての講座で、アロマテラピストの方だけでなく、医療・福祉関係の方、香りに興味をお持ちの方、ぜひご聴講下さいませ。

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