香茅類と其の精油 / 加福均三著(日本香料協会・1948年出版)
理学博士・加福先生は明治の終わりから昭和の初めまで台湾総督府研究所にて樟脳・樟脳副産油・植物精油などを研究されていて、中でも『香茅』に非常に強い関心を持っていたそうです。そんな『香茅』つまりイネ科の香料植物について詳細に書かれた本です。
イネ科の香料植物でまっさきに思い浮かぶのはレモングラスですが、実は多様な品種があります。(写真の目次参照)それぞれ含有成分に違いもあり、物理特性も違います。これらについてもきちんと書いてあります。ちなみに当園のレモングラスは西インドレモングラスで、この本でも詳しく書かれているので非常に勉強になります。
見学に来たタイの学生さんから聞いたのですが、料理用と香料用とでは違う品種を利用するとのこと。確かにこれだけの品種のレモングラスがあるわけですから、利用方法によって品種が違うというのには納得です。
香料植物は、調べれば調べる程知らないことが出てきて驚きます。最新の研究も興味深いですが、古い文献も勉強になります。おススメの本です。(写真の花はシトロネラの花です。レモングラスとは違う品種のものです。ここ30年で2回だけ咲きました)
文 : 宮崎 利樹 / 開聞山麓香料園 副園長
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