香料及び其の應用 (堀内利器 著・至玄社)

昭和2年に発行されたこの本は、天然香料と人造香料について詳しく書かれています。はじめに香料についての基礎的な概説があり、続いて試験方法、精油の抽出方法、香料植物の説明、人造香料の説明が記述されています。

この本にも芳樟が掲載されています。しかも、数少ない写真付きでの紹介です。このことからも、当時芳樟がいかに重要な天然香料資源だったかということがわかります。芳樟の項目のところには「リナロエ油、ボアドローズ油 (注:ローズウッドの別名) の代用として使用」とあります。そして驚くことに「これ等の油の偽和物として使用せらる」とはっきり書いてあります。

芳樟のほかにも、レモングラスやベチバー、ローズ・ゼラニューム、イランイランなどが紹介されています。また、それらの物理特性もきちんと掲載されています。興味深かったのは調合香料の保留剤一覧表です。保留剤としてどのようなものが利用されているのかが、一目でわかるようになっています。香りのブレンドの参考になるかもしれませんね。当時の香りへの探求心が伝わってくる内容です。

文 : 宮崎 利樹 / 開聞山麓香料園 副園長

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