・講座名 : 芳樟とクスノキ ~ その歴史と利用法 / 第28回シビックカフェ
・開催日 : 2019年7月26日(金) / 開聞山麓香料園


先日開催されましたシビックカフェ・香りの講座のご報告です。今回はクスノキとその仲間である芳樟について、鹿児島における歴史を絡めながらの講座となりました。

鹿児島では江戸時代から樟脳作りが盛んで、その樟脳を作る道具として欠かせなかった「素焼の鉢」作りも同時に発展していきました。この「素焼の鉢」の技術向上が薩摩焼の発展につながっていきました。樟脳と薩摩焼は密接な関係があったのですが、意外と知られていない歴史です。この樟脳は長崎の出島を通して海外へ輸出され、主に医薬品として利用されていました。ヨーロッパでは「サツマカンフル」と呼ばれ、さかんに取引されていました。このため樟脳は薩摩藩の莫大な資金源になったとも言われています。

一方芳樟ですが、こちらは台湾が原産のクスノキで、戦後リナロールを抽出するため鹿児島に種子が持ち込まれ、県をあげて育成・研究がすすめられました。鹿児島では芳樟生産組合も発足し、南薩摩一帯で栽培されました。最盛期には5トンのオイルが抽出されました。

5トンのオイルがどれくらいの量か、なかなか想像もつきませんが、当園にある一番大きな蒸留釜で一回に最大で5キロのオイルが採れます。という事は・・・1000回分です!一年は365日ですから単純計算でも、一日三回、毎日蒸留していた計算になります。そう思うとものすごい量のオイルを抽出していたことがわかります。この時代、天然香料がいかに重要な資源だったかということに皆さん驚かれていました。

講話の後は、芳樟オイルと芳樟ウォータ―を使ったスプレー作りをしました。芳樟の香りが一気に広がり、みなさんも自然と笑顔になっておられました。ご家庭でも芳樟の香りを楽しんで頂けたら嬉しく思います。

次回のシビックカフェもぜひご参加くださいませ。詳細は後日お知らせします。

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